ネットで見て、本物も見る
Share
ネットで見たティンガティンガと、本物のティンガティンガはなぜ違うのか
最近は、ほとんどのものがスマートフォンの中で完結する時代になった。
旅行先を探すのもスマートフォン。
レストランを選ぶのもスマートフォン。
アート作品を見るのもスマートフォン。
ティンガティンガも例外ではない。
InstagramやFacebookを開けば、色鮮やかな動物たちが描かれた作品を簡単に見ることができる。
ART POOLのオンラインストアやSNSを通じて、初めてティンガティンガを知ったという方も多いだろう。
もちろん、それは素晴らしいことだと思う。
実際、私自身も新しい作品がタンザニアから届くたびに、まず写真を撮り、オンラインで紹介している。
しかし、長年ティンガティンガを扱ってきて感じることがある。
それは、本物の魅力は画面の中では伝わりきらないということだ。
写真は作品の情報を伝えてくれる。

色も分かる。
構図も分かる。
サイズも確認できる。
どんな動物が描かれているかも分かる。
しかし、それだけなのだ。
例えば、スマートフォンで見た時には「かわいいゾウの絵だな」と思った作品がある。
ところが展覧会で原画を目の前にすると、その印象がまるで変わることがある。
思った以上に大きい。
思った以上に色が鮮やか。
思った以上に迫力がある。
そんな驚きが生まれる。
特にティンガティンガは色彩が命のアートだ。
タンザニアの強い太陽を思わせる赤。
どこまでも広がる空のような青。
生命力に満ちた緑。
写真では再現できているように見えても、実際の色は微妙に異なる。
スマートフォンの機種によっても色は変わるし、撮影時の光によっても変わる。
だから会場で原画を見ると、
「こんな色だったのか」
という驚きがよく起きる。
さらに、原画には距離によって変わる面白さがある。
少し離れて見る。
近づいて見る。
横から見る。
すると、新しい発見が次々に現れる。
遠くから見ると一匹のライオンだったものが、近づくと細かな模様の集まりであることに気づく。

一枚の青に見えた背景の中に、何種類もの青が重ねられていることに気づく。
筆の跡や絵具の厚みも見えてくる。
これは写真ではほとんど伝わらない。
そして何より違うのは、作品が持つ存在感だ。
不思議な話だが、原画には空気がある。
同じ作品の写真を何十回見ても感じなかったものを、会場で一瞬見ただけで感じることがある。
だから展覧会では面白い現象が起こる。
オンラインストアで人気だった作品が必ずしも売れるとは限らない。
逆に、ネットではそれほど注目されていなかった作品が、会場で多くの人を惹きつけることもある。
来場者が作品の前で立ち止まり、
「写真よりこっちの方が好き」
と言う場面を私は何度も見てきた。
それは決して珍しいことではない。
むしろアートでは当たり前のことなのだと思う。
だから私は、ティンガティンガに興味を持った方には、ぜひ一度展覧会へ来ていただきたいと思っている。
購入する予定がなくてもいい。
アートに詳しくなくてもいい。
まずはネットで作品を見てほしい。
気になる作品を見つけてほしい。
そして、その後で会場へ足を運んでほしい。
きっと同じ作品なのに違って見えるはずだ。
スマートフォンの画面で見ていた時には気づかなかった魅力に出会えるはずだ。
そして気づくと思う。

ティンガティンガは「見るアート」ではなく、「感じるアート」なのだと。
ネットは出会いの入口になる。
しかし、本当の感動は原画の前で待っている。
それが、私が何度も展覧会を開催したくなる理由でもある。